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2010年4月28日レポート:

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電子ブックの荒原稿 4/28(高校生のための電子書籍ビジネス入門)

Podcast:

原稿:

 

STEP01 種類(category)

電子書籍にはどんな種類があるの?

大きな書店の中にいる自分を頭に思い浮かべてみましょう。入口近くには、「雑誌」のコーナーがあり、先に進むと「本」がたくさん並んでいます。文学、評論、ノンフィクション、政治、経済、ビジネスなど、さまざまです。もちろん、「漫画」のコーナーもあります。奥には、コンピュータやデザイン、アート、写真集、そして参考書や辞書、こども向けの絵本などもあります。

現在、最もデジタル化が進んでいるのは、文字主体の「本」です。書店で一番広いコーナーに置かれている「本」が次々と電子書籍になっています。日本では、漫画のデジタル化の方が一歩リードしていますが、世界全体でみると圧倒的に文章中心の「本」がデジタル化されています。

「本」だけではなく、雑誌や新聞、漫画、教科書、こども向けの本など、本屋さんに置かれているあらゆるものがデジタル化の対象になっていますので、あと数年でデジタル化された本がより身近なものになるでしょう。

電子書籍はどこで買うの?

みなさんがデジタル化された本を読みたいと思った場合、どうすればよいのでしょう。電子書籍は、近所の本屋さんには売っていません。将来、本屋さんでも買えるようになるかもしれませんが、現在はインターネット上の書店で買うしかありません。つまり、パソコンなどの機器が必要になります。米国では、市場の60%を占めているAmazon(アマゾン)が有名です。この書店の中に電子書籍を売っているKindle Store(キンドルストア)があります。現在、48万冊以上の電子書籍が売られています(2010年4月)。

本を買うといっても、本屋さんのように直接お金を渡すことはできません。クレジットカードや銀行振込、プリペイドカードなどを使いますので、手続きが必要です。皆さんは、登録の手続きを頼むか、お父さんやお母さんに買ってもらうことになります。

電子書籍はどうやって読むの?

購入した電子書籍は、どうやって読めばよいのでしょう。実は、本を読むための専用機があります。「読書専用端末」と呼びます。Amazonでは、Kindle(キンドル)という読書専用端末を買うことができます。その他にも、SonyのReader(リーダー)やBarnes & Noble(バーンズ&ノーブル)のNook(ヌック)などが売られています。
日本にも2004~2007年頃には読書専用端末がありましたが、現在は売られていません。

読書専用端末を持っていない人(もしくは日本のように読書専用端末がない国)は、パソコンやスマートフォンなどを使うことになります。iPad(アイパッド)などの紙に近い機器も登場してきましたので、読書専用端末の代わりに使えるかもしれません。Amazonなどの書店では、電子書籍を読むための専用ソフトを提供していますので、パソコンやスマートフォンなどでも読めるようになっています。

特定の機器でしか読めない電子書籍

AmazonやSony、Barnes & Nobleで買った電子書籍は、読書専用端末だけではなく、パソコンやスマートフォンなどで読むことができます。専用のソフトをインストールしなければいけませんが、読書専用端末を持っていない人のことも考えられています。

ただし、電子書籍の中には、特定の機器でしか読めないものがあります。たとえば、iPhone(アイフォン)のApp Store(アップストア)で買った電子書籍は、iPhone、iPod touch(アイポッドタッチ)、iPadでしか読めません。iPhoneを売っているApple(アップル)社のパソコンでも読むことができないのです。

なぜ、Kindle Storeで売っている電子書籍のように、他の機器で読めないのでしょう。理由はいろいろありますが、最も影響しているのは「形式」です。実は、電子書籍には、デジタル化するときのさまざまな形式(フォーマット)があるのです。

 

STEP02 形式(format)

読書するための機器は人それぞれ

紙の本と違って、電子書籍というのは買うときも、読むときも、ずいぶん面倒だと感じているかもしれません。みなさんにとっては、ケータイで読むコミックや小説の方が便利だと思っているのではないでしょうか。たしかに、ケータイ小説も広くとらえれば電子書籍の仲間です。画面が小さくても、空き時間を使って読むにはちょうどよいと思います。

電子書籍は、必ず「本を読むための機器」が必要です。高校生であれば、パソコンよりもケータイが中心になるでしょう。ただし、大学生や社会人になれば、パソコンやスマートフォンが身近な機器になるかもしれません。毎日、パソコンを使うようになれば、パソコンで電子書籍を読むほうが楽になるでしょう。もし、長編小説を読みたいと思ったら、Kindleのような読書専用端末が欲しくなると思います。

電子書籍って、いつまで読めるの?

紙の本は時間が経つと痛みますが、何年でも本棚に入れておくことができ、いつでも取り出して読むことができます。電子書籍はどうでしょう? デジタルですから古くなることはありません。では、紙の本のように20年経っても読むことが可能でしょうか。

まず特定の機器でしか読めない電子書籍は、その機器が新しくなったとき、そのまま引き継ぐことができるかどうかが問題になります。パソコンのソフトは、古くなるといずれは動かなくなります。つまり、買い換えていくことになります。

パソコンソフトのような電子書籍

パソコンのソフトのように作られた電子書籍は、いずれ読めなくなるでしょう。機器が新しくなったら、必要に応じて買い換えもしくは更新(アップデートと言います)するのが当たり前になるのかもしれません。
ただし、新しい技術を取り入れた電子書籍には適しています。なぜなら、映像や音声が組み込まれていたり、ゲーム的な機能が搭載されている本は、時間が経つと古くなってしまうからです。どうしても、パソコンのソフトのように作り直しが必要になります。

何年経っても読める電子書籍

インターネットが普及してから、15年以上経ちました。15年前に買ったCD-ROMの電子ブックは、もう読めませんが、当時ホームページで公開されていた小説は今でも読むことができます。ホームページは、HTMLという技術を使って作られています。

実は、電子書籍の多くは、HTMLで作られたページに近い「形式」が多いのです。たとえば、Kindle Storeで買える48万冊の電子書籍は「AZW(エージーダブリュ)」という形式ですが、HTMLで作られたページと親戚のような関係です。その他にも「Mobipocket(モビポケット)」や「EPUB(イーパブ)」などの形式も、近い親戚です。これらは、パソコンソフトのように作られた電子書籍よりも、はるかに多いのです。

AZWやMobipocket、EPUBは、仲間ですから、変換が簡単です。変換というのは、EPUB形式をAZW形式に変えてしまうことです。これらの電子書籍の中を開くと、HTMLで作られたページ(ファイル)が入っています。そのファイルを取り出せば、ホームページのように読むことが可能です。

つまり、この形式の電子書籍は、HTMLで作られたホームページと同じように、これから15年後も読める可能性があります。たとえ古くなっても、「変換」の技術を使って、まとめて10万冊を一気にアップデートすることも夢ではありません。長持ちさせたい本には適しているかもしれません。

(ここから先は次のアップデートで更新します)

 


 

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