Timeline thinking 2010

Realtime Magazine - High-Speed Publishing

The Future of Reading

メールマガジンのサンプルバージョン(エピソード1のみ)

電子書籍メディア論・週刊イーブックストラテジー
新時代のデジタルパブリッシングとソーシャルメディアで変わる「読書革命」



 

このページは、サンプルです。「メルマガ専用ページ」にアクセスしてください

 


 

●メルマガのEPUB版について

今週号は、3つのEPUB版(通常版・音声が埋め込まれたAudio版・図版をすべてSVG形式で配置したSVG版)が用意されています。
iPad, iPhone, iPod touchのiBooksおよびStanzaで読むことができます。パソコンのリーダーには最適化していません。(Adobe Digital Editionsなど)パソコンのEPUBリーダーは日本語が読みづらく可読性が極端に低下します。パソコン向けに「Webページ版」を用意していますのでご利用ください(メルマガ専用ページにリンクがあります)。

今週号も、Dreamweaver→EPUBのオートメーション・ワークフローで作成しています。構造は、EPUBの中身を開いて確認してみてください。
複製・改変自由です。iBooksの動作や操作性などを試してみてください。

SVG版は、図版を拡大すると小さな文字も読めるようになります(高画質のまま拡大されます)。
図版をダブルタップすると、フルスクリーンモードに切り替わります。
SVG版は、複雑な図版を変換していますので、iPadもしくはiPhone 4を推奨します。

 

Audio版は、音声ファイルを埋め込んであります。プレーヤーの再生アイコンをタップすると音声が流れます。
図版の解説音声なので、再生した後、図版をダブルタップしてフルスクリーンにしてください。画面が切り替わっても音声はそのまま再生されます。
※最新の「iBooks」(バージョン1.1.2以降)が必要です

ページをめくると音声は停止します(※iPhoneは停止しません)。

iPhoneの場合も同様です。音声を再生させ、図版をダブルタップしてフルスクリーンモードにします。
ピンチアウトの操作で、さらに拡大できます。iPhoneの場合は、画面が小さいので、部分拡大してください。

通常版の音声はリンクになっていますので、Safariで聴くことができますが、音声にパスワードがかかっています(メルマガ専用ページと同じパスワードです)。もし、入力が面倒な場合は、Webページ版で聴いてください。

 


 

今週号は、2010年7月21日号「電子書籍メディア論 I」の続きです。

※このドキュメントは「アルファ版」です。アップデートによって内容が変更される可能性があります

 


 

ユニバーサルにつながる「本」の再構築 電子書籍メディア論 II

電子書籍メディア論の[II]のアルファ版です。このバージョンは、書籍の荒原稿に相当し、2010年7月28日号では以下の5つの節を収録しています。
音声ファイルと図版がセットになっていますので、図を見ながら聴くと理解しやすくなると思います(図を参照しているわけではありませんので音声を聴くだけでも問題ありません)。音声は、iPhoneやiPad、iPod、パソコン用の「高音質版」と携帯電話用の「軽量版」があります。
また、5つの節を1つにまとめた音声(46分)も用意していますので、連続で聴きたい人はご利用ください。下部にリンクがあります。

  1. 表示と構造の分離~マークアップ言語の歴史(8分40秒)
  2. 米国「Open eBook Forum」はHTMLベースのフォーマット、
    日本「電子書籍コンソーシアム」は画像化フォーマットを採用(13分04秒)
  3. 電子書籍プラットフォームが乱立した「2000年」
    インターネット・ナローバンド時代の「電子書籍元年」(15分18秒)
  4. 日本「読書専用端末が登場」
    米国「Open eBook ForumからIDPFへ/Amazonは独自規格」(4分59秒)
  5. 17年前の電子書籍プラットフォーム
    読書専用端末(NECデジタルブック)と母艦(PC-9800シリーズ)(5分30秒)

 

 

[01]表示と構造の分離~マークアップ言語の歴史(8分40秒)

1969年、IBMのゴールドファーブ等によって開発された「GML(汎用整形言語)」は、文書マークアップ(割り振り)の基本ルールを決める仕組みだ。ここが文書構造化のスタートライン、電子出版の幕開けである。1986年には、GMLをより進化させた「SGML(標準汎用整形言語)」が、国際標準化機構「ISO」によって標準規格として承認された。ティム・バーナーズ・リーが、WWWのプロジェクトを開始するのは、その3年後(1989年)。HTMLの最初のドラフトがリリースされたのは、1991年だ。

一方、新たなムーブメント「マルチメディア」にも注目が集まる。SGMLがISOに承認される2年前(1984年)に、Appleがハイパーテキストの機能を搭載した商用アプリケーションをリリースする。「ハイパーカード」である。「"クリック"してページをめくる」電子ブックが大量に作られ、パソコンで読む雑誌「スタックマガジン」がフロッピーで販売された。今から、26年前の電子ブックの流行は、紙の再現ではなくハイパーリンクというデジタルならではの可能性を探り、楽しんでいた。

1993年には、Adobeの「PDF」、ボイジャーの「エキスバンドブック」が登場し、いよいよ本格的な電子ブック・オーサリングの時代に突入。翌年(1994年10月)、W3C(World Wide Web Consortium)が設立され、Webの世界も着々と構築されてきた。

90年前半は、「DTP」と「マルチメディア」、「Web」の3つのラインが同時に走っており、「デジタルパブリッシング」(紙の本)、「マルチメディアオーサリング」(スクリーンで読む本)、「Webデザイン」(構造化されハイパーリンクでつながる本)が接近したり、反発し合いながら、完全には融合せず進化していく。マルチメディアがWebに飲み込まれ、消滅するのは、90年代半ばから後半にかけてだ。

 

 

[02]
米国「Open eBook Forum」はHTMLベースのフォーマット、
日本「電子書籍コンソーシアム」は画像化フォーマットを採用(13分04秒)

1998年11月、Microsoftのビル・ゲイツは米ネバダ州ラスベガスで開催された「COMDEX FALL'98」の基調講演で、液晶画面に表示される文字の視認性を向上させる新技術「ClearType」と電子書籍について解説した。「OnPaper(新聞、雑誌、書籍)は、OnScreen(Web)へ移行する」と語り、HTMLをベースにした電子書籍フォーマットの仕様「Open eBook」を策定したと発表した。

Microsoft(他、二社と共同)が「Open eBook」のドラフトを作成したのが、10月。11月には、電子書籍の標準化団体「The Open eBook Forum(OeBF)」が設立された。Microsoft、Adobeなど85社以上が参加。
日本では、10月に「電子書籍コンソーシアム」が発足していた。日本と米国で、同時期に電子書籍関連の組織が立ち上がったのは何の因果か、とても興味深い。

電子書籍コンソーシアムのことを知ったOpen eBook Forumは、「日米共同の標準化」を提案したが、両団体が推進する電子書籍フォーマットには大きな隔たりがあった。米国は「HTMLをベースにしたテキスト主体のフォーマット」、日本は「ラスタライズ(画像化)フォーマット」を各々採用していたのだ。電子書籍コンソーシアムがなぜ「画像化」を選択したのか? 流し込みレベルの縦書きは技術的に可能だったが、高度な日本語組版を表現するには、ページをそのままスキャンして「画像」として扱うしかなかったのである(キラーコンテンツである「漫画」も画像化の他に表現方法がなかった)。

 

 

[03]
電子書籍プラットフォームが乱立した「2000年」
インターネット・ナローバンド時代の「電子書籍元年」(15分18秒)

電子書籍コンソーシアムの実証実験が、2000年3月に終了し、デジブックジャパン設立(4月)、イーブック イニシアティブ ジャパン設立(5月)、「電子文庫パブリ」オープン(9月)、イーブック イニシアティブ ジャパンの電子書籍販売サイト「10DaysBook」オープン(12月)と、次々に電子書籍関連事業が立ち上がった。
(補足:日本で最初に電子書籍ダウンロード販売を始めたのは「電子書店パピレス」。インターネットではなくパソコン通信で開設)

海外では、Adobe「Acrobat eBook Reader」ダウンロード開始(1月)、フランスのMobipocket社設立(3月)、「Microsoft Reader」US版のダウンロード開始(8月)など、電子出版ビジネスが動き出す。
2000年は、まさに「電子書籍元年」であったが、32~64Kbpsが当たり前のナローバンドの時代(「Yahoo! BB」がスタートするのは、2001年9月)。パソコン向けのコンテンツ提供には大きな壁があった。むしろ、小さな画面(リッチ化しなくてもよい)で課金システムが整備されている携帯電話の方に可能性があった。1999年2月に登場したNTTドコモの「iモード」は、2001年から新機種(503iシリーズ)に「iアプリ」を搭載し、電子書籍のダウンロード販売を可能にした。2003年には新潮社の「新潮ケータイ文庫」や角川書店の「文庫読み放題」がオープンする。

 

 

[04]
日本「読書専用端末が登場」
米国「Open eBook ForumからIDPFへ/Amazonは独自規格」(4分59秒)

2004年、松下電器の「Σブック(シグマブック)」、ソニーの「LIBRie(リブリエ)」など、読書専用端末が相次いで発売される。シグマブックは、約7.2インチの液晶を二枚使ったダブルスクリーンの読書端末で、現在のiPadと同じ解像度1,024×768(XGA)だった。対応フォーマットは、独自技術の「SD-ePublish」とイーブック イニシアティブ ジャパンのebi.jフォーマット。対して、ソニーのリブリエは独自フォーマットの「BBeB」、両者には当然ながら互換性はない。

海外に目を向けると、大きな動きがあった。 2005年に入って、Open eBook Forumが、IDPF(International Digital Publishing Forum)に名称変更し、OeBPSの後継規格の準備に入っていた。同年、Amazonがフランスの「Mobipocket社」を買収し、Mobipocketフォーマットの技術を手に入れる。

2007年9月、IDPFが「EPUB 2.0」を策定、2ヵ月後の11月19日にAmazonは独自フォーマット「AZW」を採用した読書専用端末「Kindle」を米国で発売する。同じ頃、日本の携帯電話向け電子書籍市場は急成長していた。2007年度の電子書籍市場は、前年度182億円に対して355億円まで拡大していたのである。携帯電話向けは約70%の283億円になっていた。
米国は「標準技術(Adobe, SONY, Google, etc...)」VS「独自技術(Amazon)」勃発、日本は携帯電話向け電子書籍市場の急成長という展開。

 

 

[05]
17年前の電子書籍プラットフォーム
読書専用端末(NECデジタルブック)と母艦(PC-9800シリーズ)(5分30秒)

1990年、ソニーの8cmCD-ROM電子ブックプレーヤー「データディスクマン」が発売された。電子化された「本」を外に持ち出せる最初の端末だ。3年後、今度はNECが電子ブックリーダー「デジタルブック」を発売する。日本語の縦書き表示、マーカー機能、自動めくり、文字サイズの変更、拡大スクロールなど、現在の読書端末にも搭載されている基本機能が備わっており、パソコン通信サービス「PC-VAN」へのアクセスを可能にする通信ソフトウェアや電子ブックの作成ツールなども提供されていた。
さらに、購入した電子書籍は、パソコン(PC-9800シリーズ)でも読むことができた。リリースされた電子書籍は142タイトル(1995年2月)。
家ではパソコン、外で読みたいときは「デジタルブック」という読書スタイルを実現していたのである。

 

 

全てのエピソードをまとめて聴く(46分25秒)

[1]~[5]までを一つにまとめた音声データ。データサイズは大きいが、iPhoneやネット接続可能なiPod touch、iPadであれば、リンクをタップするだけで再生される(3G回線でも特に問題はない)。携帯電話で聴きたい場合は、軽量版のリンクを選択してほしい。

 

2010年7月28日号は、電子書籍メディア論の[II]のアルファ版です。図版とオリジナルの音声が収録されています。一部、参考ビデオなども含みます。

 

筆者:境祐司

 


●参考リンク

 


●メールマガジンの引用と図版の複製について:
メールマガジンの記事に関しては、(有料配信のため)全文掲載は控えていただきたいのですが、部分引用はOKです。
図版に関しては、非営利かつクレジット表記があれば、複製・改変して、電子書籍関連の勉強会や社内プレゼンテーションなどに活用していただいて問題ありません。詳しくは、以下を参照してください。

●今号の図版データのダウンロードURL

 


発行者:境祐司(さかいゆうじ)Youji Sakai
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このページは、境祐司が運営するPodcastのテキスト版(有料メールマガジン)に関する内容を掲載しています

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