Responsive Web Design

レスポンシブ・アーキテクチャの概念から生まれた「レスポンシブWebデザイン」というアプローチ 

Placeholder imageレスポンシブWebデザインは、ボストンのウェブデザイナー/開発者であるイーサン・マルコッテ氏が、2010年5月にウェブマガジン「A List Apart」に寄稿した記事「Responsive Web Design」で詳細が公開され、世界中のウェブ制作者がこの新しい手法に注目した。マルコッテ氏は、この記事の中で「レスポンシブ・アーキテクチャ(Responsive Architecture)」からインスピレーションを得たと書いている。

人間の行動にあわせて建築物が「適応」する

レスポンシブ・アーキテクチャとは、物理的形状を動的に変化させることが可能な変形機構を持つ建築物のことで、その概念については1970年代から提唱されている。私たちの身近にあるレスポンシブ・アーキテクチャの実例で最もわかりやすいのが開閉式のドームスタジアムだ。試合を観戦中、大雨になった場合、屋根のないスタジアムでは、観客は傘をさしたり、レインコートを着て対応するが、開閉式の屋根を持つスタジアムなら、数分で雨を遮断できる。

マルコッテ氏は、室内におけるプライバシーを守る仕組みとして、スマートガラスの技術を紹介している。人が集まると透明なガラスが自動的に不透明になり、パーティションとして機能するテクノロジーだ。

レスポンシブ・アーキテクチャから狭義のレスポンシブWebデザインへ

人間の行動にあわせて、建築物の方が「適応」するというレスポンシブ・アーキテクチャの概念は、ウェブデザイナーにとっても応用できるものだと考え、2009年3月、「A List Apart」にページレイアウトを保持した状態でウィンドウの可変に適応する手法「Fluid Grids」を掲載、同年4月には、マルコッテ氏のサイト「Unstoppable Robot Ninja」に画像やビデオなどを可変ウィンドウに適応させる「Fluid Images」について解説している。そして、翌年の5月に「Responsive Web Design」という開発アプローチが公開されることになる。