THINK ZERO MAGAZINE

Creative Edge School Books


一人出版社がまた一歩「死」に近づいた(2015年12月5日)

本日は、長期プロジェクトのスケジュール調整。一昨日、「取材が終わらない」と書きましたが、これは遅れているのではなく、情報が足りないので「もっと取材を増やす」ということです。当然ですが、知識が増えてくると、新たな疑問が出てきますので、もっと深く掘っていくことになります。どこかで終わらせないと、専門家になるまで、取材活動を続けることになってしまいますが、現時点ではまだ情報が足りない。3ヵ月延期して、2月末まで取材を続行、コンテンツは1月から並行して進める予定。マイクロブロギングで反応を見ながら、仮説検証を繰り返さないといけませんので。ただ、3ヵ月延びるということは、一人出版社がまた一歩「死」に近づくってことですね。新たな施策が必要です。一人出版社そのものが、長期プロジェクトのようなものだから、最終的にどう落ち着くのか、まったく想像できない。


先月の18日に配信したPodcast「自分のビジョンに「多くの人たちを巻き込む」ことができた人が成功している。個人でも集団でも同じiTunes Link)」で取り上げたC・オットー・シャーマー博士の「U理論」には、自分が抱えている問題が「煩雑な問題」なのか、「複雑な問題」なのか見極めることが重要だと書かれています。


「煩雑な問題」というのは、やるべきことを整理すれば十分解決できる問題、「複雑な問題」は、あちらを立てればこちらが立たぬ(相互依存関係)のことで、自分の認知の限界を超えてしまう問題のこと。身近な問題で言うなら「子育て」などは後者。親がいくら時間やお金をかけて「元気で活発な子どもに育てたい」と思っても、どんな子どもに育つか、まったくわからない。


今、一人出版社が抱えている問題も明らかに「複雑な問題」で、どんな戦略を立てても役に立たない問題なんですね。ここは、ロジャー・マーティンの複合的思考と同じで、「複雑な問題を複雑なまま」受け止めて、やっていくしかない。例えば、「著者を探して、電子書籍をつくって、Kindleストアで販売する」といった計画で生じるさまざまな問題は「煩雑な問題」だから、あれこれ考えるより、優先順位を決めて、一つひとつ確実に進めていくことで、解決することができます。


一方、一人出版社では、「メインコンテンツを大量のサブコンテンツで支えながら、認知度を高めていく」特殊な手法を採用しています。これが、予期せぬモノゴトを発生させるエンジンになっていて、プロモーション目的で公開したサブコンテンツが他社とのコラボレーションプロジェクトになったり、トライアル目的の実験的なサブコンテンツがきっかけになって大きなイベントに登壇することになったり。蜘蛛の巣状に置かれたサブコンテンツが新たな仕事を次々と生み出すわけです。でも、これは本筋ではなく、ゴールはメインコンテンツ。もう、何がくるかわからないので、複雑になっても、複雑なまま、必死になってやります。


一人出版社のデジタルコンテンツ戦略の概念図


「複雑な問題を複雑なまま」だと必ず失敗しますので、「小さく」始める。そして、可能なかぎり「早く失敗」できるように、素早く動く。小さく、速く。もう、これしかないんです。「煩雑な問題」なら、情報を整理して、優先順位を決めて、シンプルに考えて進めますが、「複雑な問題」だったら、高速プロトタイピングしかない。小さく始めて、はやく動いて、はやく失敗して、はやく学んで、また小さくリリースする。仮説検証が終わるまで、何度も何度も繰り返す。


Podcastで度々取り上げてきた「なぜ、成功できる人とできない人に分かれるのか」については、前述した「複雑な問題を複雑なまま」に加えて、「たくさんの人を巻き込む」が成否を決めるとお話してきましたが、この「人を巻き込む」というのが、想像以上に大変なことで、簡単にはいかないわけです。一人出版社としては、「人を巻き込む」ことができない限り、長期プロジェクトの成功はあり得ないのですが、たんに「人脈をつくる」という話ではないので、未だ突破口が見つかっていません。


こんなに毎日、重要な決断をし続ける年は、人生初で、例えるなら毎試合、総合格闘技のように真剣勝負しているプロレスラーのようなもので、いつ大怪我して欠場になるかわからないという状態。でも、やるしかない。そういう複雑な仕事にしてしまったのだから。



投稿日:2015年12月5日(土)




今日の一言:2015年12月5日(土)

晴れ、朝6時の気温5.5度(東京)。
2015年の平日は、あと「14日(+土日祝の8日)」。12月の5日目です。引き続き、旧・一人出版社のコンテンツの準備。午前中は、新生・一人出版社のフィールドワーク・トライアルです。
東京ビックサイトで開催されている「2015 国際ロボット展」は今日まで。2年に1回なので、来年はありません。業界向けのイベントですが、これだけの数のロボットを見られる機会はないと思います。子どもには良い刺激になるので、時間があるならぜひ家族で会場へ。中学生以下は無料です。
最先端のロボットを思う存分、子どもに見せて、「ロボットすごい、ぼくもロボット作りたい」って雰囲気になっていたら、早めに会場を出て、トイザらスのお台場店へ行ってください。ロボットのおもちゃがたくさん並んでいますので、 自由に遊ばせる。すぐに飽きたり、特に関心がない感じなら、それまで。もし、目の色が変わっていたら、クリエイティブマインドに火がつく前兆。まぁ、あくまで、きっかけづくりでしかないのですが、世界で著名なアーティストや研究者の本を読むと、子どもの頃に種火があったというのは共通していることですから。ロボット展のような規模の大きなイベントはそうないので、ぜひご活用を。
長期プロジェクトでロボティクスの取材を始めてから、ロボットデザイナーという職業に注目していて、準備中のサブコンテンツなどに反映していきたいと思っています。マジンガーZ世代、ファーストガンダム世代が、ロボットメーカーの経営者だったり、投資家という時代です、日本はかなりダイナミックに動くと思うのです。



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