THINK ZERO MAGAZINE

Creative Edge School Books


GOOB:getting out of the building(建物から出ろ)(2015年12月11日)

昨夜、一人出版社の大先輩、岩田さんのサイト(裏だより)を見ていて、新刊点数がそろそろ1000点になるという投稿を発見。すごい、と思って公式のアカウントで連投してしまいました。たった一人の出版社で、年商が1億2000万というのは、価格の高い専門書に絞って、3,000円以下の安価な書籍は「新たな読者層を広げるため」と、セグメントを明確にして取り組んでいるから。7,000〜8,000円の書籍が、400冊程度売れていけば、安定した経営ができるとのこと。岩田さんの出版社が発行しているのは国文学系の専門書が主力で、本の価格は2,000〜10,000円くらい。例えば、新刊の「近世関東の水運と商品取引 続」は7,400円、「近世日本石灰史料研究Ⅷ」は9,900円。この分野の専門書だと、どこもこのくらいの価格ですね。


私も、ライフワーク本「フリーダムパブリッシング」で書きましたが、価格を下げるのではなく、1,000円に設定したら、売れるまで作り直す(アップデートを繰り返す)、それでもだめなら出版を諦める。と決めていました。大学の先生に手伝ってもらって、シミュレーションしたところ、媒体力を持っていない一人出版社では、いくら価格を下げてもその効果には限界があることがわかったからです。価格を下げるのなら、無料にしてより多くの人に届けた方がいいわけです。設定した価格で納得して購入してもらえるように、コンテンツのクオリティを向上させる努力の方にエネルギーを使うべき、という判断をしました。


旧・一人出版社のデジタル本の価格設定


ただ、新生・一人出版社では、長期プロジェクトに移行して、「娯楽」に挑戦することになったので、この考え方ではうまくいかない。「じゃ、どうする?」と苦心し、GCDeMOの開発に着手するという流れにつながっていきます。岩田さんは、学会などのイベントに出かけて、手売りで数十万、数百万を売っているわけですが、私の場合は法人向けの訪問ワークショップなどが重要な機会となる。一人出版社の認知度が向上すれば、ネットでの販売が主力になっていくと思いますが、まだまだ時間がかかるでしょう。


ネットは想像以上に厳しい世界です。SNSでは、コミュニケーションと相性のよい面白おかしい無料コンテンツが溢れかえり、サブスクリプションの映像コンテンツも浸透し、平日観る時間がない人は「週末に消化するぞ」などと言ってるくらいですから、有料のマイクロコンテンツなどはまず視界に入ってこない。この大渦の中に、マーケティングなしで飛び込むのは自殺行為。認知度も、実績もない場合は、パソコンのスクリーンと睨めっこしても事は動きません、とにかく「外に出る」しかない。スティーブ・ブランクが提唱している「GOOB:getting out of the building(建物から出ろ)」です。


それにしても、岩田さんの一人出版社、22年ですか。「岩田書院」は、1993年に設立、たった一人で本の編集から、販売、営業活動をこなしている。裏だよりを見ると、土日祝日無し、年中無休のようですが、一人の出版社で20年以上継続しているのはほんとに尊敬するなぁ。出版の仕事が好きじゃないとできないこと。
私の一人出版社は、まだ一年生。これから、19年続けていくって、まったくイメージできない。でも、20年後は間違いなく一人出版社もロボット化が進んでいるじゃないかな。



投稿日:2015年12月11日(金)




今日の一言:2015年12月11日(金)

晴れ、朝6時の気温7.7度(東京)。
2015年の平日は、あと「9日(+土日祝の7日)」。12月の11日目です。朝の気温は「7度」でしたが、現在(お昼)はなんと、「23.8度」まで上昇。10時頃に北風から南風に変わって、強風と共に暖かい空気が入ってきた。ただ、夜になると気温が急激に下がるので、要注意ですね。私もアクティブに見えて、今は立派な病人なので、寒暖の差は影響大なのです。今日は、旧・一人出版社の作業は一旦停止して、新生・一人出版社の作業。デスクワークの方が効率的なので、3時間くらいはパソコンが使えるように調整したい。
昨日もここで書きましたが、シンクゼロマガジン埋め込み用マイクロブロギング(@thinkzine)で、毎日、一人出版社のコンテンツビジネスに関連したニュースを取り上げているのですが、Uber、Airbnb、Alibabaなど、プラットフォームネイティヴな新興企業の勢いがすごいですね、ほんとに。現状維持でマーケットを守ろうとしている企業が戦々恐々している。
DX(デジタルトランスフォーメーション)という造語は、2004年にエリック・ストルターマン教授(当時ウメオ大学)が提唱したものですが、じわじわと企業戦略の核になりつつあります。料理を近くのレストランから届けてくれるDoorDashとか、スーパーで買い物を頼めるInstacartなど、スマホのアプリで、誰でも簡単に利用できる「超お手軽」で「超便利」なサービスが多くのユーザーの支持を得るのはしかたないこと。急激に変わっているので、訴訟を起こされたりトラブルも多いのですが、ユーザーが味方についているので、今の勢いで一つひとつ解決していくのでは。タクシー会社の社員が、パートタイムの一般ドライバーに仕事を奪われているUber問題などは、2016年の大統領選挙にまで波及して、Uber選挙などと呼ばれているくらい。
そして、重要なのはこのDXエコノミー、私たちの仕事のレベルでも影響を受けることになるということ。気がつけば、周りはライバルだらけ、となる。もう、一部の業界ではすでに始まってますよね。



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