eBook Media Theory

電子書籍メディア論

次世代のデジタル本と電子書籍デザイナーの役割

電子出版の高度化・複雑化

電子書籍を読む端末にもなっているスマートフォン

これから電子出版もウェブと同様に、高度化・複雑化の道をたどっていく

電子出版もウェブ同様、高度化・複雑化の道をたどっていくことは間違いありません。電子出版の仕事に携わっている人ならEPUB 3がどれだけ高機能になったか理解できると思います。ウェブの標準技術を策定しているW3Cと足並みを揃えることで、進化のスピードはさらに加速していくでしょう。
電子書籍デザイナーも「大まかに全体像をつかむ」という意識が重要になってきます。デザインには「狭義のデザイン」と「広義のデザイン」があります。人によって「デザイン」という言葉の捉え方はさまざまです。ファッションやインテリアをイメージする人もいれば、グラフィックや広告などを思い浮かべる人もいます。

ウェブと融合する次世代の電子書籍

ブラウザーで読むマガジンとタブレット

次世代の電子書籍はウェブと融合したブラウザーベースのデータになる

電子書籍のデザインは商業デザインであり、商業デザインは「デザイン」です。このように多層的に捉えていくことで、今まで視野に入ってこなかったものが見えてきます。今後、電子書籍のデザインも複雑・高度化していきますが「大まかに全体像をつかむ」という意識がなければ、情報に流されるだけではなく、自分のパラダイムでしか読み解けず、新しい情報に対してはどんどん批判的になっていくでしょう。
また、大まかに全体像をつかむことができなければ、たとえ一つひとつ丁寧に勉強をしても、その情報量に圧倒され、どこかで心が折れてしまいます。一旦すべてを受け入れ「ざっくりと理解する」が吉です。デザインというのは、奥深く、楽しいものです。もし、行き詰まり感で先が見えなくなってきたら、一度、じっくりと全体を俯瞰し、自分の仕事をシンプルに捉え直してみることをお奨めしたいと思います。