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教育環境のIT化は技術進化のスピードに巻き込まれていく
現在、進められている電子教科書(デジタル教科書)についての議論は、教育の現場で使われている教科書をデジタル化するだけの単純な話ではありません。電子化した教科書のデータをタブレットなどのデバイスに入れて、教科書の代わりにするだけでは、あまり意味がないのです。
ハードウェアの技術進化は想像以上に速く、実証実験を進めている間に、新機種が次々と登場し、当初不可能と思われた表現や運用が、あっという間に実現してしまう世界です。
教育環境のIT化は、自治体によってばらつきがありますが、現場の先生方の意識は少しずつ変わってきていると思います。現在の教育界のトレンドとして、オンライン講座を大規模に展開する「MOOC(ムーク)」や、家庭で予習し、学校では応用問題などに取り組む「反転授業」などがありますが、今後の授業のあり方を変えてしまう大きなインパクトを持っています。
高性能コンピュータ「スマートフォン」がいよいよ子どもの手の中に
技術革新による影響は、教育現場にとどまらず、家庭にも飛び火していきます。子どもたちの欲しいものランキングには「スマートフォン」が登場し、すでに保有率が小学生高学年(4〜6年)で7.8%、中学生では34.4%という調査結果も出ています。現在販売されている子ども向けスマートフォンは、安全に利用できるようにカスタマイズされていますが、私たちが使用している機種とそれほど変わらないスペックです。
子ども向けに構築されたプラットフォームには、学校のデジタル学習教材を上回るような、教育アプリが多数リリースされています。これからの子どもたちは、IT化が進む教室で学ぶだけではなく、高性能コンピュータ(スマートフォン)を身につけ、最先端の技術に慣れ親しんでいくわけです。
UXデザイナーとインストラクショナルデザイナーのコラボレーション
このように変化のスピードが速い領域では、理念と上位目標が重要になってきます。デジタル化された教科書は、教科書本体(コンテンツ)とビュアー(アプリケーションソフト)、情報端末(ハードウェア)で構成されており、この3つのレイヤーの組み合わせを検証しながら、アクセシビリティやコンテンツの永続性、相互運用性についても考えていく必要があります。
そして、どのような学習体験を創造できるか、をさまざまな手法を用いてデザインしていくことになります。この作業が最も重要で、どんなに技術が進んでも、揺るがない部分です。
UXデザイナーとインストラクショナルデザイナーによる協業フェーズだと捉えてよいかもしれません。
本書は、今まであまりスポットが当たってこなかった電子教科書のデザインやアクセシビリティについて取り上げています。教育関係者のみならず、ウェブと教育で新しいプロジェクトを起こしたいと考えているデザイナーの方々にも読んでいただきたいと思っています。
電子教科書/デジタル教科書とは何か。紙の教科書がデジタルになって情報端末で見られる、それだけのことでしょうか。PART-1では、電子教科書をめぐる過去の出来事を振り返り、教育環境のIT化に関する動向や、初等教育のプログラミング教育、先行する自治体や学校などが今どんなことに取り組んでいるのか等、事例を紹介しながら整理していきたいと思います。
大学の講義を誰でも無料で受講できる。なぜ?何のために。教育界では、今までの教育手法や概念を覆すようなMOOCや反転授業などの話題で熱い議論が交わされています。これらのトレンドは、テクノロジーによって変貌していく教育の未来を考えるきっかけになっています。PART-2では、学校(教室)や先生の役割がこれからどう変わっていくのか考えていきます。
数年前から急速に普及しているスマートフォン。今のスマホは、電話なのかコンピュータなのか判断できない。高性能化や大画面化が進み、PCのユーザビリティを上回るようなアプリが次々と登場しています。MOOCの無料講義も受講可能、反転授業の予習にも使えます。PART-3では、子ども向けのスマホが、学校や教育に与える影響について考えてみたいと思います。
電子教科書のオリジナルは紙ですが、実際は情報端末と一体化したハードウェア。つまり、機械です。機械は操作しなければ動きません。操作しにくい情報端末、操作しにくいインターフェイスは、使いづらい教科書。どんなに中身が良くても、ダメな教科書になってしまいます。PART-4では、電子教科書をプロダクトとして捉え、「デザイン」について考えていきます。
電子教科書はソフトウェアであり、ハードウェア。限られた環境、特定の製品でしか使えない教科書になってしまう可能性があります。やむを得ないことなのでしょうか。電子教科書の設計では、まず「アクセシビリティ」を上位目標として掲げるべきだと考えます。PART-5では、アクセシブルな製品を開発するための取り組みを紹介し、デザインと理念について語ります。
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