Creative Edge School Cafe

第1回 勉強会

2014年9月6日(土)PM14:00/新宿

第1回目は、デザイン、ウェブ、映像、キャラクター、アクセシビリティ、小説、学術など、さまざまな分野の方々が集まりました。最初なので、特定のテーマを設定せず、フリートークに近いかたちで進行しましたが、かなり濃いコミュニケーションが交わされたと思っています。あっという間の2時間でした。

 

場所は、新宿スタジオアルタの並びにあるカフェ「カフェドボア」。4階のスペースを借りて開催しました。カフェには、他のお客さんもいますので、ざわついた感じでしたが、会議室のような静かな場所より、リラックスして話せたのではないかと思います。

 

カフェミーティング(テーブルミーティング)の良いところは、対話中に別の視点に気づいて、付け加えながら話すことで、予期せぬコミュニケーションの化学反応が促進されることではないでしょうか。

AさんとBさんの対話を聞いたCさんが別の切り口から、素朴な質問を投げかけ、対話をさらに発展させていく。考えが深まるだけではなく、眠っていた自分の引出しを開けるきっかけにもなります。

出版とクラウドファンディング

日本では出版活動にクラウドファンディングがあまり活用されていない

 

例:CAMPFIRE

カテゴリー「本・漫画

 

2014年9月6日現在、4プロジェクトのみ(全35プロジェクトで31が終了)

CAMPFIREの「本・漫画」カテゴリーページのスクリーンショット
  • もっとクラウドファンディングを活用してもよいのでは
  • ただし、理念や熱意を伝えるためのコピーライティングや映像表現などは軽視できない
  • 特に、知名度がない、ソーシャルメディアを積極的に利用していない人などは、存在を知ってもらうことから始めないといけない

 

Kickstarterの出版に関するプロジェクト

2014年9月6日現在、728プロジェクト

 

Publishing - Kickstarter

Kickstarterの「Publishing」カテゴリーページのスクリーンショット
  • プロモーションビデオを公開し、イメージが的確に伝わるようにプロトタイプも作成する
  • 一人でここまで準備できるのか

 

例:

Winter Woven StoryBook

出版プロジェクト「Winter Woven StoryBook」ページのスクリーンショット

昨今の緊急出版(エマージェンシーパブリッシング)

  • 電子出版の技術、容易に発行できるプラットフォームによって、地味に拡大中の領域
  • 今、世の中で話題になっていることをいち早く電子出版
  • 事件やスキャンダル、最新の製品やサービスなどを迅速に電子書籍化し、Kindle Storeでリリース

成人向けのアダルト小説はどのプラットフォームが適しているのか?

売上では「DLsite」がダントツで、次に「DMM」、かなり下がって「Amazon Kindle」

 

「DLsite」ウェブサイトのスクリーンショット
「DMM」ウェブサイトのスクリーンショット

クラウドソーシングとの差別化

「クラウドワークス」ウェブサイトのスクリーンショット
「ランサーズ」ウェブサイトのスクリーンショット

業界全体の単価にも影響し始めている

 

  • クラウドソーシングには、ディレクターとプロジェクトマネージャーの存在が欠けている
  • 自分たちのサービスを再定義し(制作だけではなく上位工程のプロセスを含む等)、戦いの場所を変えていく

 

  • 軽自動車を作るのか、フェラーリを作るのか
  • 量産タイプの「制作特化」か、限定生産タイプの「制作だけにとどまらないコンサルティング」か

 

バックエンドに「コンサルティング」を置き、フロントエンドサービスとして量産タイプの受注を手掛けるというやり方はある

企業内で需要が高い映像コンテンツ制作

例:

工場で働く人向けの教育ビデオ

外国人が多いので、言語別のバージョン、カスタマイズが必要だが、なかなか対応できない状態

 

  • 現場では、まだDVDが現役メディア
  • スイッチを一回押すだけで実行できるようなシンプルなメディアが求められる

 

  • タブレットを活用したオンデマンドは、インターフェイスデザインが肝になる
  • 高機能でも、選択肢が多く複雑な仕様は適さない

 

参考(NTTドコモ):

NTTドコモ「ビジネスオンライン」ウェブサイトのスクリーンショット
導入事例で紹介されている「ジョーシン・シャックス」PDFドキュメントのスクリーンショット

舞台ビジネスから学ぶ「リアル」とファン

作家の「アウトサイドの収入源」

世に出回りづらいもの(業界タブー、成人向けなど)に絞る方法

 

  • 音楽の後追いになるが、ライブを重要な収入源にしていく
  • 著者にとってのライブ活動とは?
  • 読者との交流会、講演、リアル販売を兼ねたトークショー

 

例:同人

リアル販売で、3,000部売れて元が取れたらよいという考え方

 

例:アニメの舞台化

  • ハコを埋めたら、まず利益が出る
  • その他の重要な利益、役者の写真を売る(俳優の写真は販売できないがアニメのキャラクター写真という解釈で売る)
  • 1枚500円、かなり大きな収益
  • 写真は、ライブでしか売らないため、希少性が高くなる

 

人気アニメ「弱虫ペダル」(原作は漫画)の舞台はプラチナチケット

 

舞台「弱虫ペダル」公式サイトのスクリーンショット
  • 男性向けの舞台はあまりうまくいっていない、多くは女性向け
  • 成功ポイントは、「青春」を感じさせること
  • 例:「テニスの王子様」「BLEACH(ブリーチ)」
  • NHKの「忍たま乱太郎」の舞台(ミュージカル)も埋まっている

 

  • 漫画・アニメと舞台の層はすべて重なっているわけではない
  • 人気作品は、どちらの領域も拡大していく
  • 舞台には、漫画・アニメのファンだけではなく、役者のファンも多数くる

 

舞台ビジネスとファン心理

  • 最初の舞台は役者もまだ演技がぎこちない
  • 中盤から演技もうまくなり、舞台の完成度が上がっていく
  • ファンは、役者の成長を見守る
  • 宝塚ファンと同じ心理

漫画・アニメの影響とマーケットの変化

「弱虫ペダル」の場合:

  • 高級自転車市場
  • かつては、おじさん市場
  • 今は、「弱虫ペダル」の影響で若い女性も増えている
  • ヒルクライムレースに参加して優勝した主婦もいる

 

参考:

バリアフリー上映と「音声ガイド」という仕事

  • 音声ガイドを作成するには、ボキャブラリーが必要になる
  • 例えば、ガチャガチャ、ガシャポンどちらが伝わるのかなど、言葉の使い方が難しい
  • 最近、字幕の自動化は進んでいるが、音声ガイドは人の判断がないと作成できない

 

  • 字幕でも要約するなど高度な作業が必要だが、音声ガイドは、映像の音声と重ならないように調整するなど、さらに高度な作業になる
  • テレビでは、番組の副音声で音声ガイドを流している

 

  • 全盲の方でも、生まれつき(先天性視覚障害者)と中途視覚障害者では認知能力が異なる
  • 「遠ざかる」シーンで、「小さくなっていく」と表現した場合、先天性視覚障害者には理解できない。「遠ざかると、だんだん小さくなっていく」というイメージにならない
  • 色を使った表現も使わない。「青ざめた」「血の気が引く」など

 

  • 字幕は、健常者にも役立つことが多い
  • 大きな音を出せない病院や役所の待合室にあるテレビなど
  • 音声ガイドの場合は、字幕のような活用はしにくい

 

米国では、音声ガイドの原稿を書く「ディスクライバー」と呼ばれる専門職の人たちが活躍している

 

明日(7日/PM12:55)、品川プリンスシネマで、映画『GODZILLA』のバリアフリー上映がある

 

音声ガイドは、上映と同時進行で、FM放送によって流される。イヤホン付きFMラジオを持参する(劇場でもFMラジオを貸し出しているが数に限りがある)

 

参考記事:

音声ガイドについて解説している記事ページのスクリーンショット

オーディオブックと相乗効果を発揮するコンテンツ

  • オーディオブックが苦手な人
  • 抑揚のない朗読は、継続して聴きにくい(気になってストーリーに没頭できない)
  • 本の朗読ではなく、著者が解説する音声コンテンツなら楽しめる

 

小林麻耶(元TBSアナウンサー)が朗読する「聴く日本国憲法」はなぜ売れているのか

「日本国憲法」+「オーディオブック」+「小林麻耶」という相乗効果で売れる

 

オーディオブック「聴く日本国憲法」ページのスクリーンショット

萌えキャラの声優を起用する音声コンテンツ

コンテンツの内容だけで売っているのではない、「耳が幸せになる」というコンセプトも重要

 

書籍の例:

  • 美術書カテゴリーで最も売れている人体デッサンのためのポーズ集
  • 小倉奈々(AV女優)がモデル
  • ポーズ集として購入する人(イラストレーター、アーティスト)と小倉奈々を目当てに購入する人

 

技術系の例:

  • 技術層と萌えキャラ層の重なり
  • 「萌えキャラ」+「3D技術」+「Unity」

文芸と映像について

小説と映像の相性について

 

プロモーション目的でイメージビデオが作成され、YouTubeやニコ動などの動画共有サイトで公開されているが、人気作品でもあまり再生されていない

 

  • 人間の想像力にはなかなか勝てない
  • 中途半端なクオリティでは逆効果
  • もし映像を使うなら、映像単体でも評価が得られるレベルでつくらないといけないのでは

 

  • 村上龍 氏の(坂本龍一 氏の音楽を使用した)電子書籍はどうだったか?
  • ストーリーに没頭したい読者が、「映像や音楽」を邪魔な演出を感じたら、「本」として受け入れてもらえない
  • 技術的に付加できるから、入れてみた、ではうまくいかない
  • 電子書籍の最先端事例で終わってしまう

 

  • たんに、書籍の中に映像を取り込んだものは、過度な演出になってしまう
  • 文芸の中で映像が生きる、適したフォーマットを設計しないかぎり、違和感を払拭できない

 

例:

  • スマートフォンで読みやすい、楽しめる、スマートフォンに適した漫画
  • 「入れ物」によって、コンテンツを作りかえる
  • 「スマホでも読める漫画」だけではなく、「スマホで読む漫画」

 

「comico(コミコ)」ウェブサイトのスクリーンショット

キーワード:

クラウドファンディング, クラウドソーシング, エマージェンシーパブリッシング

CAMPFIRE, Kickstarter, クラウドワークス, ランサーズ, DLsite, DMM, Amazon Kindle, comico

弱虫ペダル, 舞台ビジネス, 企業内動画教材, バリアフリー上映, 音声ガイド, ディスクライバー, オーディオブック

次回の勉強会

勉強会(カフェ・ミーティング)は、隔週で開催していきたいと思いますので、第2回目は、20日(午後3時〜/新宿近辺)を予定しています。詳細は、ニュースレターPodcast等でもお知らせ致します。

 

更新日:2014年9月11日/境(ebookcast@gmail.com)

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