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The Future of Reading

メールマガジンのサンプルバージョン(エピソード1のみ)

電子書籍メディア論・週刊イーブックストラテジー
新時代のデジタルパブリッシングとソーシャルメディアで変わる「読書革命」



 

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今週号のEPUB版は、オーディオを埋め込んだエンハンスドeBookになっています。
以下のビデオは、アクセシビリティ(ジェスチャーと音声読み上げ)機能で電子書籍を読む(聴く)ときの操作を記録したものです。

 


 

ユニバーサルにつながる「本」の再構築 電子書籍メディア論 I

電子書籍メディア論I

電子書籍メディア論の[I]のアルファ版です。このバージョンは、書籍の荒原稿に相当し、2010年7月21日号では以下の5つの節を収録しています。
音声ファイルと図版がセットになっていますので、図を見ながら聴くと理解しやすくなると思います(図を参照しているわけではありませんので音声を聴くだけでも問題ありません)。音声は、iPhoneやiPad、iPod、パソコン用の「高音質版」と携帯電話用の「軽量版」があります。
また、5つの節を1つにまとめた音声(36分)も用意していますので、連続で聴きたい人はご利用ください。下部にリンクがあります。

  1. 電子出版の始まり(3分42秒)
  2. ユニバーサル・イーブックとトランジショナル・イーブック(5分26秒)
  3. ユニバーサル・イーブックの機能(9分22秒)
  4. 電子書籍のカテゴリ(11分30秒)
  5. 電子書籍の3つの要素「構造化・メタデータ・ID」(7分00秒)

 

電子出版の始まり

[01]電子出版の始まり(3分42秒)

現在の電子出版業界は混沌としている。国内では、2000年頃から電子出版ビジネスがスタートしているが、半ばで多くの企業が撤退し、国産の読書専用端末はすべて消えてしまった。現在の電子書籍市場は、課金システムが確立している携帯電話向けのコンテンツが圧倒的だ(大半はケータイコミックである)。今年「2回目の電子書籍元年」を迎え、出版・印刷業界が再び大きく揺れている。

電子出版の歴史は、IBMのチャールズ・ゴールドファーブ、エドワード・モッシャー、レイモンド・ローリー等によって開発されたGML(1969年)からスタートした(もちろん、 1965年のテッド・ネルソン「ハイパーテキスト」も無関係ではない)。タグ付きドキュメントをソースファイルとする代表的なフォーマットEPUB, AZW, Mobi, .book, XMDFなどは、41年前に登場したGMLの延長線上にあるといっても過言ではない。「電子書籍メディア論 I」(アルファ版)では、過去40年を振り返りながら、現在の動向を分析し、将来(5年先、10年先)の電子出版および電子書籍について考えていきたい。

 

 

ユニバーサル・イーブックとトランジショナル・イーブック

[02]ユニバーサル・イーブックとトランジショナル・イーブック(5分26秒)

あらゆる人に等しく読書体験を与えられる電子書籍「Universal eBook(ユニバーサル・イーブック)」と移り変わっていく電子書籍「Transitional eBook(トランジショナル・イーブック)」。Transitional eBook(トランジショナル・イーブック)は、「読みたい」「買いたい」という人がいれば、どんな形でもよい。Wordで書いたドキュメントでも、ブログでも、Twitterの議論をまとめたもの(ツイートの集合体)でも、電子書籍フォーマットに変換し、パッケージングすることで成立する。情報消費される電子書籍として捉えることも可能だ。情報商材もTransitional eBookに含まれる。

 

 

ユニバーサル・イーブックの機能

[03]ユニバーサル・イーブックの機能(9分22秒)

Universal eBook(ユニバーサル・イーブック)は、Transitional eBook(トランジショナル・イーブック)とは異なり、近視眼的な行為をできるだけ避けて、将来の大きな利得を優先する電子書籍のことである。「ユーザビリティ」や「アクセシビリティ」、そして「相互運用性」(Interoperability)や「発展性」(Evolvability)が重要なポイント。「相互運用性」によって、A社のリーダーでも、B社のリーダーでも読めるようになる。特定の技術やソフトウェアに依存しない「独立性」が必要。また、新しい技術や時代に合わせて進化できる「発展性」によって、10年後も20年後も読める電子書籍となる。

たとえば、1996年頃に購入した電子ブック(CD-ROM)は、現在のパソコンでは読めない。当時使用していた旧型のパソコンを中古ショップなどで探すしかない。一方、同じ頃に作られたウェブページは最新のウェブブラウザでも読むことができる。同様に現在作られているウェブページは、15年後も問題なく読めるだろう。

 

 

電子書籍のカテゴリ

[04]電子書籍のカテゴリ(11分30秒)

文字主体の欧文の本を電子化するためのフォーマットおよびリーダーで、ファッション雑誌や新聞、漫画などは表現しにくい。ラスタライズ(画像化)して、強引に表示してもユーザビリティ、リーダビリティを低下させるだけである(リーダーアプリが落ちてしまうこともある)。たとえば、EPUBフォーマットの電子書籍を読むために設計されたリーダー(iBooksやStanza)で、複雑なレイアウト構造を持った雑誌などは表現できない。雑誌に適したフォーマット、表現、リーダーがあるはずだ。漫画の場合も、(漫画を快適に読むための)コミックリーダーがある。

書籍、雑誌、新聞、漫画、写真集、教科書などあらゆる分野に対応した万能フォーマットはまだ登場していない。現在は、(a)文字主体の書籍、(b)雑誌、新聞、(c)漫画、写真集、画集、絵本、(d)教科書などに分けて、考えたほうがよいだろう。

 

 

電子書籍の3つの要素「構造化・メタデータ・ID」

[05]電子書籍の3つの要素「構造化・メタデータ・ID」(7分00秒)

Universal eBook(ユニバーサル・イーブック)は、人間だけではなく「機械にも理解できる”本”」でなければいけない。そのためには、最低でも「構造化されている」、「メタデータが付加されている」、「IDが割り振られている」の3つの条件を満たしている必要がある。Transitional eBook(トランジショナル・イーブック)や電子ファイル、電子ドキュメントなどは、必ずしも構造化されている必要はないが、機械処理によってさまざまなユニバーサル機能を実現するUniversal eBookには不可欠である。

 

 

全てのエピソードをまとめて聴く(36分30秒)

[1]~[5]までを一つにまとめた音声データ。データサイズは大きいが、iPhoneやネット接続可能なiPod touch、iPadであれば、リンクをタップするだけで再生される(3G回線でも特に問題はない)。携帯電話で聴きたい場合は、軽量版のリンクを選択してほしい。

 

筆者:境祐司

 


 

●お知らせ

8月から「朝勉強会」をスタートします。概要は以下のとおりです。
電子出版ビジネスで最も重要な「作成した電子書籍をどうやって知ってもらうか」というプロモーションやプロデュースについて意見公開したいと思います。海外の成功事例が国内でそのまま通用するとは思えませんが、仕組みの理解にはつながる可能性があります。Podcastでも紹介したGary Vaynerchuk氏のソーシャルネットワーク活用なども、あらためて検証してみたいと思います。
「朝勉強会」と書くと、窮屈なイメージがありますが、多分「朝のお茶会」に近い感じなるでしょう。

 


●参考リンク

 


●メールマガジンの引用と図版の複製について:
メールマガジンの記事に関しては、(有料配信のため)全文掲載は控えていただきたいのですが、部分引用はOKです。
図版に関しては、非営利かつクレジット表記があれば、複製・改変して、電子書籍関連の勉強会や社内プレゼンテーションなどに活用していただいて問題ありません。詳しくは、以下を参照してください。

●今号の図版データのダウンロードURL

 


発行者:境祐司(さかいゆうじ)Youji Sakai
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