Timeline thinking 2010

Realtime Magazine - High-Speed Publishing

The Future of Reading

メールマガジンのサンプルバージョン(エピソード1のみ)

電子書籍メディア論・週刊イーブックストラテジー
新時代のデジタルパブリッシングとソーシャルメディアで変わる「読書革命」


 

 


EPISODE 1

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iPad向けの「雑誌(マガジン)」を成功させる方法
User Experience編

今日は、iPhoneのアプリ版「GQ Magazine」について取り上げてみたい。

2月末にApp Storeでアプリ版「GQ Magazine」を購入した。早速、最初(3月2日)のアップデートがあり、リーダーのパフォーマンスが改善された。大辞林やロングマンなど、辞書アプリのアップデートは、すでに何回も実行されていたが、マガジンのアプリについてはあまり例がなかったと思う。今後、アプリ版の電子書籍は、必要に応じて不具合を修正したり、機能を追加するのは当たり前になっていくだろう。

GQ Magazineは、1957年に創刊された男性向けの季刊誌で、世界17カ国で発行されている。ちなみに、GQは「Gentlemen’s Quarterly」のことだ。日本は、2003年4月に「QC JAPAN」(コンデナスト・ジャパン)が創刊された。
アプリ版の「GQ Magazine」は350円(2010年3月現在)。アプリ内にストア機能があって、アプリ内課金によってバックナンバーを購入できる仕組みになっている。このアプリには、読者の利便性を向上させる特別な仕掛けが施されているので、ご紹介しておきたい。

App Storeでアプリを購入して、ホーム画面に表示されたアイコンをタップすると、マガジンの初期画面が表示される。ここで、またダウンロードがスタートする。ただし、ダウンロードは目立たないように実行されているので、気付かない人が多いと思う。よく見ると、表紙画像の下にプログレスバー(ダウンロードがどこまで進んでいるか視覚的に伝えるためのUI)が小さく表示されている。


なぜ、購入時にアプリをダウンロードしているのに、起動後もう一度ダウンロードを始めるのか?

実は、このアプリは580KBしかない。つまり、最初は最低限のデータしかダウンロードしないのだ。データサイズが小さいため、インストールの処理は速い。起動後に開始されるのは、本体(コンテンツデータ)のダウンロードなのである。「終了するまで待たないといけないのか?」と思ってしまうが、ダウンロード中であっても、閲覧に支障はなく、どのページからでも読むことができる。開いたページが優先的にダウンロードされる仕組みになっているようだ。
わかりやすく言うと、ライブ映像のように、ストリーミングで雑誌を読んでいる状態。要するに、紙面を読んでいる間、バックグラウンドで全体をダウンロードしているのである。


どうして、このような仕組みを採用しているのだろうか?

アプリ版「GQ Magazine」には、高画質で美しい写真がたくさん掲載されている。もし、このデータを一回のダウンロードで済ませようとした場合、20MBを超えてしまうだろう。20MBを超えると、3G回線ではダウンロードできない。無線LAN環境でしかダウンロードできないというのは、「すぐ読みたい」という読者のニーズに応えられないことになる。

 

※以下、サンプルのため省略

 

EPISODE 2

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エンハンスドeBookの可能性と電子書籍のプロモーション

本の存在をどうやって伝えていくか?

現在、拡大しつつある電子書籍市場は、玉石混交で膨大なフリー本(タダで読める本)と隣り合わせの世界だ。書店の棚に「どうぞご自由にお持ちください」と書かれた書籍が大量に並ぶことはあり得ないが、電子書籍プラットフォームでは当たり前の風景になっている。
「本の存在を知ってもらうため」の書籍プロモーションが軽視できない重要なプロジェクトになっていくことは明らかである。

今回は、Wine Library TV(ワイン情報を世界に配信しているサイト)のホストで、ワイン業界で人気のあるGary Vaynerchuk(ゲーリー・ヴェイナーチャック)氏が、2009年10月に出版した「Crush It!」に注目してみたい。

「Crush It!」は、小売業で成功するためのビジネス書である。FacebookやTwitterをどう活用すればよいのか実体験に基づいて解説している。彼は、ソーシャルネットワークを効果的に活用していることでも有名だ。公式サイトを見ると、右サードバーの最上部に「Crush It!」の購入情報が表示されている。そこには、書影と4つのロゴが並ぶ。上から「audible.com」、「amazon.com」、「Vook」、「iTunes」のロゴが表示されていて、書籍、オーディオブック、電子書籍などが買えるようになっている。

audible.comとiTunesは、オーディオブック、Amazonは書籍(ハードカバー)と電子書籍(Kindle Edition)、Vookは映像が組み込まれたアプリ版の電子書籍だ。余談だが、「Crush It!」のチャリティソング(売上はハイチ支援に全額寄付)もiTunesから購入できるようになっている。曲はヒップホップで、PVにはGary Vaynerchuk氏の映像が使われている。

図[http://design-zero.tv/2010/mailmagazine/images/file436_01.jpg

書籍「Crush It!」のバリエーション:

 

※以下、サンプルのため省略

 

EPISODE 3

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電子出版プロデュースの肝は「Social media presence(ソーシャルメディア・プレゼンス)」

米国の書籍プロモーションは、映画のようにプロジェクトとして進められ、著者、エージェント、パブリッシャー、パブリシストなど、さまざまな人が関わっており、役割分担も明確だ。電子書籍においては、特に「Social media presence(ソーシャルメディア・プレゼンス)」が重要だと言われている。
今回は、電子書籍のプロデュース、プロモーションについて取り上げてみたい。

まずは基本的なところから。対象とする「読者」について整理してみよう。
「電子書籍を購入でき、読書できるハードウェアを持っているかどうか」という視点で見ていくと、対象とする読者層が絞られていく。紙の本では、このようなカテゴライズは必要ないが、デジタル化された本の場合は、何らかのハードウェアがないと買うこともできなければ、読むこともできない。

では、電子書籍のためのハードウェアにはどのようなものがあるか列挙してみよう。

図[http://design-zero.tv/2010/mailmagazine/images/file481_01.jpg

最も「読書」に最適化されたハードウェアは、KindleやSony Reader、Nookなどの読書専用端末だ。専用機として設計されているため、”紙”に近づける唯一のハードウェアだといえるだろう。
読書専用端末以外は、すべて汎用機である。アプリケーションソフトウェアをインストールすることで、読書端末として利用することができる。最も多くの人が所有している端末は、携帯電話だ。日本では特に、携帯電話がコミックリーダーとして使われている。

 

※以下、サンプルのため省略

 


付録について:

 

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