THINK ZERO MAGAZINE

Creative Edge School Books


子ども「テロってなに?」大人「テロというのはね、ええっと何だろ?」(2015年12月3日)

新生・一人出版社の第一弾となる長期プロジェクトは、医療・ロボティクスをテーマにしたコミック。ストーリーは、先月7日に「スマホコミック「ZEROROBOTICS」のストーリー構造」という記事を書きましたが、長寿国が抱える認知症問題(国際問題)、MCI(軽度認知機能障害)と診断された主人公の苦悩(誤解と差別)、加速する軍事用ロボット開発(新たな脅威)の3つのエピソードが複雑に絡み合う物語。ストレートに構成してしまうと、エンターテインメントにならない。実は、まだ頭を悩ませています。

長期プロジェクトの一番最初のサブコンテンツ(「クリエイティブエッジスクール・ヘルス」というブログ)を公開したのが、4月なので、もう8ヵ月経ちました(このサブコンテンツは現在一時停止)。取材は半年間の予定で、夏からスタートしましたので、今月で終了する予定なのですが、ぜんぜん足りません。まだまだ調べることがあり、専門家の人たちに話を聞かないといけません。


当然ですよね、医療もロボティクスも素人で、この2つをミックスしたコンテンツなのですから。核となるテーマは「認知症」で、こちらは10ヵ月ほど勉強しているので、アルツハイマー型認知症なら、専門書もある程度、読めるようになりました。取材は続行することになりますが、直近の問題はストーリーの構築。骨子はできているのですが、中学生、高校生にどう伝えるか。先日、「中学生、高校生向けに情報を発信していきます」で、マイクロブロギングを新たに始めることを書きました。ここで反応を見ようと思っていますが、並行して「伝え方」の試行錯誤もやっていかないと。


この企画を考えたときから、頭にあったのは、NHKで放映されていた「週刊こどもニュース」。こども向けのニュース番組ですが、総会屋とか、カラ出張とか、テロリスト、口蹄疫、普天間基地問題、事業仕分けなど、硬派な題材が多くて、こういうアプローチはいいなぁと思っていたのです。


NHKアーカイブスで市長できる「週刊こどもニュース」


週刊こどもニュースは、国内外のニュースを短く伝えるコーナー、フリップや模型などを使ってニュースをじっくり解説するコーナー、子どもたちが記者になって取材にでかけるコーナーで構成されています。「ニュースを短く伝えるコーナー」は、NHKの他のニュース番組から5本選び、子どもでも理解できるように書き直し、実際に子どもたちに聞かせて、「よくわかりません」となれば、原稿を書き直す。「わかった!」となるまで、繰り返す。毎週、この作業をやっていたんですね。


この作業がどのくらい過酷か、例を示しましょう。子どもたちに、ニュースを聞かせます。「本日、政府は〜」と読んだところで、子どもから「政府ってなに?」ってくる。「えっ? 政府というのはね、ええっと、どう言えばいいのかな」というやり取りが、何度も何度も続くのです。毎週ですから、これは大変です。この番組のエピソードは、池上彰さんの著書「こどもにも分かるニュースを伝えたい」(新潮社/2005年出版)に書かれていますので、ぜひ読んでみてください。


実はこの番組、実際は子どもより、大人が熱心に見ていて、年齢別視聴率では、60歳以上の視聴率が20%に達していたそうです。そうだろうなぁと納得。通常のニュース番組では、理解できないまま、どんどん流れていきますから。大人も「なるほど、そういうことだったのか」って感じだったと思います。

私も、ロボティクスの取材を始める前に、まず図書館に行って、子ども向けのロボットの本を全部読みました。自分にとっては未知の分野なので、可能なかぎり、レベルを下げておくのです。子ども向けの次は、中学生向け、次は高校生向けと、ハードルを上げていきます。マイナーな分野ではなかなかできないことですが、基本的な考え方は同じです。


皆さんも、ちょっと考えてみてください。子どもに「テロってなに?」と聞かれたときに、どうわかりやすく説明するか。今、この類の問いを自分の課題にしてストーリーづくりのトレーニングをしていますが、想像以上に難しい。



投稿日:2015年12月3日(木)




今日の一言:2015年12月3日(木)

雨のち晴れ、朝6時の気温9.6度(東京)。
2015年の平日は、あと「15日(+土日祝の9日)」。12月の3日目です。昨日は、駅で倒れてしまい、駅員さんにご迷惑をおかけしてしまった。目の前が真っ白になって、ボクサーがノックダウンされた感じで崩れ落ちる感じ。あくまでも自分のイメージなので、実際は違うかもしれませんが。学生らしき人が「大丈夫ですか!」と声をかけてくれた記憶がある。駅員さんを呼んでくれたのも、学生さんでしょう。コードゼロの発動を回避するため、3日貫徹して、日中、走り回るなど、少々無理をしたので、安全装置が働いてストップした感じです。
パソコンが使えない状況がずっと続いているので、デスクワークで忙しいわけではないんですね。前例のない仕事をやろうとすると、メールなどネットのコミュニケーションでは進まないので、どうしても体力勝負になります。例えば、横浜にいて、館山市に詳しい人がいると聞けば、すぐに確認して行くしかありません。
一人出版社の企画の源泉は、「取材」や「フィールドワーク」ですから、100%肉体労働。デジタル専門の出版社ですが、モノゴトを生み出すプロセスは地道なアナログワーク。メリットは、余計なことを考える時間がないので、精神的には健康でいられること。身体が健康でも、心が病んでいたら、仕事どころではないと思うのです。とはいえ、何事も「極端」はリスクを伴いますので、調整しながら、バランスとりながら。
時は得難くして失い易し然れど待てば海路の日和あり。



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