EBOOK STRATEGY WEBCAST
電子書籍メディア論ウェブキャスト・シーズン2
ノンコーディング・ウェブデザイン/Adobe Muse CC完全習得[基礎編](6時間)
イントロダクション
ウェブキャスト(Webcast)とは、文字どおりウェブで配信される映像や音声のことですが、私は主に教育分野におけるeラーニングコンテンツに近い意味合いで使用しています。ビジネスの分野では、ウェビナー/Webinarなどと呼ばれます(WebとSeminarを組み合わせた造語)。最もわかりやすい表現は「オンライン学習」ですが、個人が自由に発信できるポッドキャスト(Podcasting)のようなスタイルに興味がありましたので、ウェブキャストと呼ぶようになりました。
YouTubeには、個人が作成した膨大なスクリーンキャストが公開されています。スクリーンキャストというのは、PCのデスクトップ画面を記録したもので、アプリケーションソフトの使い方などを映像で学ぶことができます。デスクトップの操作を録画できるスクリーンキャプチャーツールがたくさん公開されていますので、無償のフリーウェアを使用すれば誰でも簡単に作成することが可能です。このウェブキャストと電子出版を連携させたいと思ったのが、2011年。2年ほど試行錯誤を繰り返し、2013年に入りトライアルを進めてきました。
私の初めての電子出版物は、1996年に日経BPから発売されたインターネット関連のチュートリアルでした。インターネットが商用化されてから2年しか経っていませんので、当時は最先端の話題を扱った電子ブックです。媒体もCD-ROMによる販売。その後、1998年10月に発足した電子書籍コンソーシアムの「ブック・オンディマンド・システム総合実証実験」ではモニタ読書として参加しましたが、ほぼ同時に動き出した携帯電話によるモバイルインターネットに可能性を感じて、iモード向けケータイコンテンツのプロジェクトにのめり込みます。
現在の(EPUBなどの電子書籍フォーマットによる)電子出版に興味を持ち始めたのは2009年末で、いずれ自分の書籍の電子版もリリースされることになるだろうと思っていました。この頃から、電子出版関連のポッドキャストを配信しています(先日、296回目を配信)。
習得本の内容を映像で補完する試み
著書は大半が初心者向け習得系の本なので、スモールステップで詳しく解説するため、大量の図版が入ります。それでも、紙の場合はページ数の制約がありますので、省略される機能や操作が出てきます。動画による解説が有効だということはわかっていましたので、チュートリアルムービーを収録したCD-ROMを書籍に付けたこともあります。
また、オライリーメディア(O’Reilly Media)が、無料のウェブキャスト「O’Reilly Webcasts」を配信していて、著者が書籍のプロモーションも兼ねて講演しており、その動線づくりがよく出来ていましたので、参考にしたいと思っていました。ただし、ウェブキャストを実行するときにクリアしなければいけないのが、スクリーンキャストの制作コスト。動画についてはスクリーンキャプチャーツールを使えば、すぐに作成できますが、著者が解説しながら(同時に操作もしながら)収録していきますので、毎回ハンズオンセミナーをやっているのと同じです。即興でやるわけにもいかず、何回かリハーサルしなければいけません。
出版社から発行される書籍で実践
そこで、原稿執筆の進め方を変更。原稿を執筆しながら、ウェブにアップロードし、本の執筆が終わったときには、ウェブブラウザで全てのページが閲覧できるようにしました。これが、ウェブキャストの台本になります。さらに、2012年末からは、商用利用が可能な音声合成のソフトウェアを導入し、ナレーションの機械化に挑戦。本の原稿をそのまま読ませています。すでに何回も配信していますので、ご覧になってください。こちらは原稿を字幕として表示しています。視聴の際、字幕をONにしてください(参考:音声合成によるスクリーンキャスト)。
スクリーンキャストの制作コストが半分くらいまで下がったところで、出版社から発行される書籍で実践。9月に発売された「Adobe Edge Animate CC スタートガイド」(技術評論社)にウェブキャストを付けました。書籍を購入された方は、Part 03から05までの全17レッスンをスクリーンキャストで学ぶことができます(参考:ウィンドウ可変に適応したエレメントの配置)。ナレーションはすべて音声合成で収録されています。
まだ敷居が高い有料のライブ配信
これで今後出版する書籍に、ウェブキャストを付けられるようになりましたが、未だトライアル中なのが、(オライリーメディアが配信しているような)ウェブキャスト・ライブです。無料であれば、Ustreamなどの個人向けストリーミングサービスが利用できますが、有料のライブは安定した配信が必須となり費用も高額、まだ実践できる段階ではありません。
現在は、企業や学校などを対象にして、事前に受講人数や環境などが確認できるようにしています。前述したとおり、個人が自由に発信できるポッドキャストのようなスタイルを追求したいため、お金をかけずに、できるだけ多くの著者や学校の先生、(ウェブキャストをYouTubeなどで発信したい)クリエイターなどが実践しやすいワークフローを模索中です。
有料コンテンツから無料の共有コンテンツへ
さて、今回はクローズドな環境で公開していたページをリニューアルし、オープンな場で公開。過去のウェブキャストの総括版を編集し、アーカイブもリリースすることになりました。アーカイブと言っても、過去の講義は、一部の情報がすでに古くなっていますので、最新情報に変更して再演(再操作)しており、データ的にはオリジナルです。
アーカイブは、6ヶ月程度で販売終了し、スクリーンキャストはYouTubeにアップロードされます(ポリシーを参照してください)。ウェブのイベントなどは、有料でも数ヶ月後には無料公開し、参加者以外の人たちも情報共有できるようにしていますが、アーカイブ販売についても、6ヶ月で無料公開というのは概ねコンセンサスが得られる期間だと思っています。
ポリシー
ウェブキャストは現在、企業・学校向けに個別対応で進めています。ライブで実施するオンライン学習とオンデマンドで提供する2つの学習スタイルを用意していますが、2013年にスタートしたばかりで、コンテンツの大半は新規に開発しています。
ウェブキャストのアーカイブはコース終了後、ストアなどで販売されます。アーカイブには、スクリーンキャスト(映像)や教材データ、音声データなどが含まれます。尚、ウェブキャストライブを受講された方、有料のニュースレター(メルマガ)を過去に購読されていた方には無料で提供しています(プログラムを参照)。
また、アーカイブは、リリース後6ヵ月から1年程度で、販売を終了し、YouTubeなどで公開しますので、誰でも視聴できるようになります。
電子書籍メディア論では、あらゆる人に等しく読書体験をあたえられる本「Universal eBook(ユニバーサル・イーブック)」を実現するための技術(W3Cの標準技術など)や開発・閲覧環境を推奨しており、ウェブキャストで取り上げるテーマにも反映されています。
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更新日:2013年10月25日