HTML5パブリッシングマガジン開発日誌 Vol.15/Webデザイナーの情報収集力と仕事の速さを活かして電子出版

2014年5月9日:Webデザイナーの情報収集力と仕事の速さを活かして電子出版

HTML5 Publishing Magazine Development Diary 15 :
「電子書籍の作り方」シリーズの第二弾となる「自分の書店を持ち、6つの電子書籍ストアで販売する[BCCKSの活用](仮)」を来週月曜日にリリースする予定です。「電子書籍の作り方」シリーズは、初心者が知っておくべき電子出版の基礎知識やツールの操作方法などを体系的に学べるコースとしてプランニングされています。

第一弾の「Kindleストアで販売する電子書籍の作り方」は、誰でも受講可能になっていますので、電子書籍の基礎知識は、ここで学習できます。第二弾は、公開済みの部分(基礎知識)は省いていますので、BCCKSの活用方法だけ、短時間で学べるようになっています。詳細は、電子出版の学校サイトのニュースレターでお知らせいたします。

BCCKS公式サイトのスクリーンショット

 

さて、今日はリトルパブリッシングとエマージェンシーパブリッシングについて書いてみたいと思います。

 

 

個人で電子出版するための環境がやっと整ってきた


 

昨年後半から、個人出版もずいぶん敷居が下がり、初めての人でも挑戦しやすくなってきたと思います。まだ「誰でも簡単に」とはいきませんが、パブーやBCCKS、Kindleダイレクトパブリッシングなど、HTMLやCSSの知識がなくても、電子書籍を発行することが可能になりました。

もちろん、表現したいことが提供されているツールの機能を超える場合は、専門の知識が必要になりますが、これは映像や音楽などのコンテンツ制作でも同じことです。提供されているデフォルトの機能で満足できなければ、勉強しなければいけません。

 

昨年の5月、ブロガーのいしたにまさきさん、編集者の宮崎綾子さんと一緒に「Amazon Kindleダイレクト出版 完全ガイド」という本を出しましたが、これがきっかけで、個人出版の相談がかなり増えました。ただ、PDFをエクスポートする感覚では作成できませんので、つまずいている人が多かったと思います。

Webデザイナーの知人が「Kindleフォーマットがよくわからない(実はEPUB 3のことだった)」ということで、何回かアドバイスしましたが、Webデザインのプロでも、最初はかなり四苦八苦していました(当然ですが、EPUBのルールがありますので)。今なら、でんでんコンバーターを紹介して、ほぼ解決しますが、この頃は、EPUB 3の知識がないと、意図したものが作れなかったのです。

 

現在は、前述した軽量マークアップ方式のでんでんコンバーターがあり、KindleダイレクトパブリッシングのWord(DOC形式のファイル)対応もかなり改善されていますので、標準的な電子書籍なら、ほとんどトラブルに悩まされず、作成・発行することが可能になったと思います。

 

 

紙の本(印刷)では出せない領域


 

2012年9月25日にAdobe社は、「Adobe Edge ツール&サービス」を発表しました。Webデザイナーやデベロッパー向けのツール、およびサービスの総称で、Webの最先端を先取りした実験的なツールで構成されています。同年の5月に正式バージョンをリリースしたAdobe Muse もそうですが、このクラスのアプリケーションソフトは、なかなか書籍になりません。

 

ユーザー数の問題はやむを得ないとして、メジャーアップデートの頻度の高さは、紙の書籍の場合、かなり厳しいと言わざるを得ません。本の寿命を縮めるからです。例えば、Adobe Muse などは、もうバージョン7です。USのAmazonでも、最新バージョンの書籍(Kindle版含む)は見つかりません。

Adobe Muse のリリースノート

Adobe Muse のリリースノートを見ると、アップデートの回数の多さがわかります(短期間で改善されているのですからユーザーにとっては、有り難いことです)。

 

リンダドットコム(オンライン学習)のAdobe Muse のコースは、それなりに受講者がいると聞きますので、ユーザーがいないわけではない。でも、情報の賞味期限を考えると書籍化は難しいのです。
ちなみに、リンダドットコムは、アプリケーションがアップデートされると、学習ビデオの方も最新の内容に更新されることが多い。

 

この領域は、やはり電子出版の世界なのかなと思います。

 

Webの分野では、さまざまなツール、フレームワーク、ライブラリが使われており、書籍(解説本)はまったく追いついていません。幸い、安価なセミナーや勉強会などが充実している業界なので、時間を確保できる人は学ぶことができます。でも、大半の人はネットで断片的な情報を集めて、あとは自己学習です。

変化が激しいので「習うより慣れろ」が基本ですが、体系的にまとめられた解説本があれば、遠回りをせずに済むわけですから、求めている人は多いはずです。

 

 

数千人のユーザーに向けて緊急出版


 

エマージェンシーパブリッシングとは、緊急出版のことですが、Kindleストアではよく見かけます。例えば、「STAP細胞」で検索すると、4月上旬に発行されたKindle版の本がいくつか表示されます。STAP細胞の論文をめぐる問題で開かれた記者会見の直後に発行されたものです。

 

IT技術系でもあります。一番驚いたのは、2012年1月19日に開催されたAppleのイベント(ここでiBooks Authorが発表された)の「次の日」に、Kindleストアで発行された電子書籍です。iBooks Authorの全ての機能を解説したガイドブックになっていました。

最近はあまり見かけませんが、ブログでは特集記事並みのボリューム(無限スクロールのように続くページ)で緊急レビューしている方々が多数いましたので、そのエネルギーが電子書籍に向かうのは自然な流れでしょう。

 

国内では同様の例がなかったので、「誰かやらないのかなぁ」などと、ずっと思っていたのですが、ついに…

 

 

Webデザイナーの こもりまさあき さんが、先日メジャーアップデートした「Sketch 3」の電子書籍をLeanPubとGumroadで緊急出版していました。

私もSketch 3は、触っておこうと思っていたので、あまりのタイミングの良さに「勢いで」決済、という感じでした。

Sketch 3 公式サイト

 

Web業界には、情報収集力と仕事の速さを兼ね備えている人が多いので、この領域の電子出版は、かなり狙えるのではないかと思います。

 

LeanPubなどは、読者とのコミュニケーションがうまく可視化されていて、改訂しやすい環境になっていますね。

電子書籍「Everyday Rails - RSpecによるRailsテスト入門」のフィードバックページ

Leanpubで個人出版されている電子書籍「Everyday Rails – RSpecによるRailsテスト入門」のフィードバックページでは、読者との活発なやり取りが公開されています。

 

「稼ぐ」マインドとはちょっと違う、コミュニティベースの緩さ、臨機応変さが、さらに電子出版の敷居を下げてくれるような気がします。

 

 

 

HTML5パブリッシングマガジン開発日誌:

 

 

投稿日:2014年5月8日

 

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