2014年5月14日:自分の書店を持ち、9つの電子書籍ストア(+BCCKS)で販売する[BCCKSの活用]
HTML5 Publishing Magazine Development Diary 17 :
「電子書籍の作り方」シリーズの第二弾「自分の書店を持ち、9つの電子書籍ストアで販売する[BCCKSの活用]」ですが、評価モニターによる検証も終えていますが、アーカイブの制作費が調達できず、保留になっています。次のウェブキャストアーカイブ「未来をつくる – HTML5パブリッシングマガジン(仮)」はリリース予定です。
アーカイブは、ウェブキャストの録画をベースにして、修正・新規追加をしていますので(実はウェブキャストよりコストがかかっています)、制作費が賄えない場合は、スキップしていく方針で進めています。
※理由は明確で、リリースする予定だったKindleのコンテンツを一般公開したことで、しわ寄せがきてしまったという単純なことでした…
BCCKSを取り上げた理由
第一弾のKindleストアの場合は、Kindleダイレクトパブリッシングという仕組みがあり(無償ツールも提供)、市販本を含む学習リソースが多く、初心者が挑戦しやすい環境だと判断し、実施しました。
第二弾で、BCCKSを取り上げたのは、「ストア配本サービス」が充実していたからです。BCCKSが提供している(ウェブブラウザー上で使用する)エディタで、電子書籍を作成すれば、9つの電子書籍ストア(+BCCKS)で販売することができます。
チケットを5枚(540円)買わなくてはいけませんが、たった540円で、9つのストアに配本してくれるのですから、自分で作業する労力を考えたら、安いものです。
対象となるストアは、Kindleストア、楽天koboイーブックストア、iBookstore、紀伊國屋書店 Kinoppy、BOOK☆WALKER、Sony Reader Storeです。
配本申請からで発売されるまでの期間は、ストアによって異なりますが、概ね申請から1〜2週間程度でリリースできそうです。
※iBookstoreのみ審査があるため時期未定になっています。
図は、ウェブキャストで使用したスライド資料を使用しています。
BCCKSは、電子書籍を作成するためのエディターを提供していますので、特別なツールは必要ありませんが、すでに、EPUB 3ファイルが作成されている場合は、インポートすることが可能です。
BCCKSの専用エディターは、見出しや本文、図版をそれぞれパネルとして扱い、その組み合わせでページを組んでいきます。慣れるまで、多少時間がかかるかもしれませんが、コードを書く作業はありませんので、初心者でも問題ありません。
BCCKSの専用エディターで作成した電子書籍は、EPUB 3ファイルに自動変換されます。また、すでに作成されているEPUB 3ファイルをインポートして利用できます。
※ただし、注意点がありますので要確認。
参考:
もし、BCCKSのエディターを使用せず、EPUB 3ファイルを一から作成したいなら、「でんでんコンバーター」をお奨めします。漫画や絵本、写真集などの固定レイアウトのEPUB 3ファイルを作成する場合は、「OMUSUBI EPUBMAKER」(Mac OS用)などがあります。
※でんでんコンバーターとOMUSUBI EPUBMAKERは、ウェブキャストで学習しました。
でんでんコンバーターは、Kindleのウェブキャストで詳しく解説しましたので、ご覧になってください。
Vol.07. EPUBの作成:でんでんコンバーターでEPUBファイルを作成しよう[04分54秒]
今回も(初めて挑戦する)初心者の方が対象でしたので、BCCKSのエディターで作成する手順を中心に進めていますが、制作方法が選択できるのは有り難いことです。
自分の書店をひらく
販売の手続きを「ストア配本サービス」に任せることで、時間に余裕が出てきます。電子書籍制作に集中できますし、電子書籍を宣伝するためのウェブページを作成したり、書籍の内容を伝えるためのブログ記事を頻繁に投稿することができます。
ウェブキャストでは、電子書籍販売後のプロモーションより、「販売前」が重要だということを強調しましたが、BCCKSには「書店をひらく」サービスもありますので、発売までの期間、試し読みのコンテンツを追加して、作品の世界観をじっくり伝えていくことも可能です。
書店をひらく
あなただけの自由な書店がすぐに開店できます!
使用例:
初心者でも利用できる電子出版サービスは、Kindleダイレクト・パブリッシングやBCCKSだけではありません。例えば、約40万人が登録している読書コミュニティ「ブクログ」と連携している「パブー」などもお奨めしています。パブーは、ブログのエディターに近いUIで、直感的な作業が可能です。縦書きには対応していませんが、ブログの記事をベースにして、本を構成したいなら、すぐにでも始められます。
電子出版サービス(プラットフォーム)の多様性
複数のサービス(プラットフォーム)があり、誰でも自由に選択できることが重要だと思っています。
もちろん、たんなる乱立では混乱を招くだけですが、プラットフォームにも多様性がないと、1つの仕様(ルール)の固定化によって、作品の表現にまで影響を与えてしまう可能性があります。
「このプラットフォームでは、こういう表現ができないから諦めよう」と妥協することが、表現の幅を狭めることにつながります。
「Kindleでは、音声と同期した朗読本が販売できないから、今回はiBookstoreを使おう」と、表現したい内容にあわせて選択できるほうが良いと考えます。「音声と同期した朗読本は販売できない」=「朗読本は作れない」という解釈が広まるのは問題です。
プラットフォームが1つなら「できる」「できない」が明確になり、制作する側も作業の効率化が可能になりますが、電子書籍というデジタルコンテンツの可能性を模索する機会を失ってしまうのではないかと思います。
どんなに技術が進化しても「あちら立てればこちらが立たぬ」の世界ですから、初めての人にとっては常に「混沌」とした印象を受けるでしょう。だからこそ、情報の交通整理が必要で、「走りながら考える」ことになるんですね。
INFORMATION!
オンデマンド版ですが、キャンペーン中です
(というより、先月リリースできず、かなり遅れてしまいました…)
Edge AnimateとMuseの連携は、ストアページに掲載する予定です。
HTML5パブリッシングマガジン開発日誌:
- 2014年5月10日「本の予告動画「ブックトレイラー」を無料アプリ「Adobe Voice」でつくろう!」
- 2014年5月09日「Webデザイナーの情報収集力と仕事の速さを活かして電子出版」
- 2014年5月08日「ウェブキャスト「HTML5と電子出版/開発日誌 Vol.01(50分)」とスライド資料(PDF)の公開」
- 2014年5月02日「ウェブ表現の可能性を追求する「4時間で学ぶ Adobe Edge Animate CC 基礎編」をリリース」
- 2014年4月25日「昭和の物知りオジさん一考察」
- 2014年4月18日「電子書籍の作り方を学ぶサイト「電子出版の学校」を公開」
- 2014年4月03日「AndroidタブレットだけでEPUB 3 固定レイアウトの本を作成(Book Creator for Android)」
- 2014年3月28日「評価モニターを募集しています「Kindleストアで販売する電子書籍の作り方」」
- 2014年3月24日「やっとリリース、3時間で学ぶ「Kindleストアで販売する電子書籍の作り方」」
- 2014年3月19日「電子出版の未来を考え、創造していくために今からやること」
- 2014年3月18日「WordPressでHTML5アニメーションを毎日投稿することも可能です」
- 2014年3月17日「電子書籍を読者に「見つけてもらう」ために/コンテンツマーケティングの領域に踏み込み、2ヵ月間実践した結果を報告します」
- 2014年3月16日「電子書籍やランディングページでストックフォトを利用する方法を紹介します」
- 2014年3月15日「個人出版の敷居はまだ高いのか? 電子書籍(EPUB)作成のどこが難しいのか考えてみる」
- 2014年3月14日「ウェブと電子出版の今後について考えてみませんか?」
- 2014年3月13日「ウェブマガジンの開発日誌を始めました!」
投稿日:2014年5月14日
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