HTML5パブリッシングマガジン開発日誌 Vol.12/昭和の物知りオジさん一考察

2014年4月25日「昭和の物知りオジさん一考察」

HTML5 Publishing Magazine Development Diary 12 :
7月オープンの「電子出版の学校」を公開しました。7月までは、一人で「小さく」やっていきますので、仮サイトということになりますが、コンテンツはそのまま蓄積され、オープン後も同様の方法で追加していきたいと思います。

ビジネスモデルが固まるまでは、ヒアリングを続けますので、さらに形が変わっていくと思います。7月には、まったく異なったサイトになっている可能性もあります。どうなっていくのでしょう、自分でもわかりません。

 

「Word だけで縦書きの電子書籍を作成できるか?」は、まとめるのに時間がかかってしまいましたが、前編と後編に分けて掲載しました。

Word だけで縦書きの電子書籍を作成できるか? [前編]
Word だけで縦書きの電子書籍を作成できるか? [後編]

Kindleの場合も、基本的には「EPUB 3 からの変換」を強く推奨していますが、初心者の方が初めて電子出版に挑戦するとき、DOC形式ファイルをKDPにアップロードするだけで完了する方法は、敷居をかなり下げてくれますので、参考情報としてまとめました。
参考にしてください。

 

電子出版の学校 ウェブサイト

 

現在、コンテンツ管理システムがうまく動作せず、一日中もやもやしていますが、あと2ヵ月、慌てず地道に進めていきたいと思います。

 

 

昭和の物知りオジさん

私が小学生(低学年)の頃、近所に博学のオジさんがいまして(オジさんと言っても30歳くらい)、週に3日程度しか働いていないので、平日の昼間からぶらぶらしているわけです。ただ、ものすごい数の本を読んでいて、映画も観ていて、週刊誌やスポーツ新聞なども見ているので、何でも知っている。そして、とにかく話が面白い。

他愛ないのない質問をしても、100倍くらい面白い話が返ってくるので、子どもたちにも人気でした。仕事はあまりしていないけど、毎日、膨大な情報を収集しているので、大人には時事ネタ、子どもには豆知識、と情報の出し方も自由自在。

大人たちが、週刊誌の釣り記事をみて「えっ、ほんとかすごいな」などと盛り上がっていると、そのオジさんがやってきて、「そんなの嘘、嘘、いつものやり方」と一刀両断。

パソコンもネットもない時代でしたから、他の大人と比べて、知識量に歴然とした差があり、子どもでも「このオジさんは違う」ということが理解できるほど。

以前、一度取り上げましたが、ソーシャルメディア・マーケティング界隈で知られているロヒット・バルガヴァ(Rohit Bhargava)氏が、2011年3月31日のブログエントリーで、コンテンツクリエイターの5つの手法について定義しており、2つ目にDistillationと題して「情報を単純化してキュレーションする行為」について記しています。

このオジさんは、散在する情報を収集、取捨選択した上で、シンプルにまとめて表現すことにも長けていたわけですね。

これはパソコンがない昔の話ですが、現在はどうでしょう?

 

誰でも等しく24時間

朝起きたら、スマホでFacebookを巡回、気になった記事や話題を共有したり、コメントで雑談したり。夕方、仕事が終わったら、移動中の車内でFacebookを巡回、帰宅後、パソコンでさらに話題になっている記事や動画に見る。布団に入っても寝る直前までスマホでチェック。

もしかしたら、こんな感じで一日中、情報に触れている人がいるかもしれませんね。

一人の人間がこんなに膨大な情報をさばけるようになったのは、前述したディスティレーションが強く影響していると思います。FacebookのウォールやTwitterのタイムラインを眺めているだけで、取捨選択された情報が目に飛び込んできますので、(サイトを探索するなど)自ら取りにいかなくてもよいのです。

3月19日の記事では、2006年に話題になった「Content Snacking / Snack Size Content」を取り上げましたが、スナック菓子のようなコンテンツとは、暇つぶしに都合のよいサイズで、コミュニケーションのネタとして、一瞬で消費されていくニュースや写真、動画などを表しています。
スマホとの相性も良いので、それこそ「いつでも、どこでも」です。

例えば、「なるほど」と思ったトリビア系記事に「へぇーそうなんだ」とコメントした場合、この「へぇーそうなんだ」がSNSではトリガーとして機能することになりますので、とても楽しい。自分だけの情報として、Evernoteなどに保存しておく情報とは異なります。流れてくる情報を「さばく」(そして反応を待つ)のが面白いわけです。

人の一日は、誰でも等しく24時間。
隙間時間が、SNSで占められてくると、読書や映画鑑賞などは、ちょっとしたイベント並のスケジュール調整が必要になってしまう人が多いのではないでしょうか。

 

広場と隠れ家を一瞬で行き来できる世界

選別されていないSNSのウォール/タイムラインは「情報の滝」ですが、本好きの人たちが集まっているグループの中に入ると、風景がガラッと変わります。それは、映画好き、カメラ好き、散歩好き等々、同じ嗜好の人が集まる場に共通することです。

「あいつ、最近見かけないな」などと思っていたら、クローズドなグループに入浸っていたりするわけです。
SNSという大きな島のなかに、たくさん隠れ家があって、行き来するイメージがわかりやすいと思います。

80年代半ばくらいから、パソコン(NECのPC98など)を使っていて、パソコン通信のクローズドな世界でコミュニケーションを楽しんでいた方々は、もう25年以上、ネットワークライフを送っていることになりますね。

余談ですが、「電子書店パピレス」がパソコン通信(NIFTY-Serve)上で、電子書籍事業を開始したのは、1995年11月です(たしか、フランス書院も同時期に、テキストフォーマットの小説を販売)。
20年前の電子出版ビジネスです(ニフティが代金回収)。

 

子どもの頃、楽しい話を聞かせてくれた近所のオジさん、今だったら、SNSやブログ、YouTubeなど使いまくって、独り語りしていたのかな、などと思いつつ、現在、自分のまわりにいる博学な方々は、それほどネットで情報発信していないので、ネットも相性なのでしょう。
「広場」より「隠れ家」向きという感じもします。

7月には、小さなグループも開設する予定なので(Ningで構築)、クローズド・オンラインコミュニティ20年の歴史を振り返っていますが、「広場」と「隠れ家」の各々の特性を理解した上で、デザインしないといけませんね。

 

Ningのウェブサイト

 

 

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投稿日:2014年4月25日

 

 

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